がだら

ガダラの豚 中島らも   可+
○文章はかなりよみやすく疲れない娯楽長編大作。ストーリー展開がハリウッド映画のようにわかりやすく、はででスリルに満ちている。前半の宗教のトリックをあばく話は、映画の「トリック」のもとねただと思うが? 後半は、アフリカの悪の呪術者との対決で、善と悪の闘いで非常に話にはいりやすい。最後は、筒井康隆風なドタバタなスプラッタになっている。巻末には参考文献が並び設定面はしっかりしていて、細かい知識にあふれている。しかし、小器用にまとまった印象をうけるのは、パラダイムを転換するほどの大技がなかったからだろう。(テレビ局の事情に強いのは、らもさんがそういう仕事をしていたのかな? )
○登場人物(ねたばれあり)
大生部 おおうべ教授 実は超能力者だった。ラストで力にめざめバキリを殺す。
大生部の妻 逸見 いつみ 志織が死んだショックでおかしくなり、聖気の会にはいり巨額の献金をするが、奇跡がトリックであることを知り洗脳がとけたちなおる。詩織とアフリカで出会い、家族とともにバキリと戦う。
大生部の息子、弟 納 おさむ
大生部の娘、姉 志織 しおり バキリはンディジと呼ぶ。アフリカで死んだと思われていたが、実は、バキリの呪術の道具になっていた。大生部は、アフリカからつれてかえるがバキリは、それをとりもどしに日本に来て関係者を呪いで殺害していく。
道満 どうまん 光彦 助手 少林寺拳法が得意。
沢井新玉 尊師  聖気の会 いかさま宗教だった。大生部たちは、尊師の空中浮遊のトリックの機材を写真に撮る。そのネガを狙う聖気の会は、やくざをつかって大生部家をおそうが、たまたまおとずれてきた馬飼が撃退する。警察ざたになり沢井たちは、逮捕される。
福田 聖気の会 導心 
ミスターミラクル  手品師 超能力のいかさまトリックを告発していく。バキリの呪術で死亡。宙に浮いた呪い人形のピンでさされてその毒で死亡。
秋山ルイ  セラピスト ニンフォマニア バキリの呪術で死亡。
馬飼 まがい  プロデューサー 巨体で格闘技に優れている。アフリカ取材のあと事故をおこした責任をとって会社をやめて独立するがうまくいかず薬におぼれバキリにあやつられて大生部一家をおそうが刑事にうたれて死ぬ。
水野      プロデューサー
清川慎二 スプーン曲げの超能力者。バキリの居場所をダウジングで探し当て反撃しキロンゾの目をつぶすが、力つきて殺される。
石野ふるみ  元アイドル。毒舌女。バキリの呪術によって馬飼に殺される。もと小柳とできていたが、最近は、清川とつきあっていた。
小柳風太  タレント おかしくなった馬飼に番組中に殺害される。
ムアンギ  現地スタッフ 酒を飲んで日本人の金持ちに嫉妬する深層心理が行動に出て、バキリのために橋をおとして日本人を数人殺し自分も死ぬ。
オニャピデ老 村の長老 大生部教授を助けようとするがバキリのしかけた毒蛇で暗殺される。
バキリ 黒人のアルビノ。邪悪な呪術師だが、本人は、宇宙の掟を実行しているだけだと考えている。大生部の娘を呪術の道具にしている。大生部が娘を日本につれかえったことを怒り娘をとりもどし関係者を殺すことにした。大生部一族には、一代おきに虫をあやつる超能力者が生まれる。結局、真の超能力者は、その娘ではなく父の教授のほうだった。
キロンゾ バキリの弟子。
隆心 りゅうしん 老師 真言密教 キロンゾと相打ちになり死亡。
恵心  けいしん その弟子
中筋、坂井  刑事
ガダラの豚〈1〉ガダラの豚〈1〉