神は

●小説:神は沈黙せず  山元弘  角川書店  可+
神は沈黙せず神は沈黙せず

○文体は平易だし、登場人物は少なく、論理も明確で、飛ばし読みしやすい。超能力とかUFOとかネット上のフレームの話とかミームとか、こぎれいにまとまっていて気軽に読めて楽しい。私にとっては一度どこかで聞いたような、なじみやすいネタが多く、それも読みやすかった理由だと思う。事実である情報をもとに書いてあるのでリアルな感覚があるが、ときどきフィクションなのか事実なのか判断できなくなる。こんな混乱をまねくくらいなら小説にする必要がないような気もしてくる。小説というよりストーリーに関係ないトンデモ本ネタの漫才を数編、組み合わせたような感じだ。「南京大虐殺」の議論までまざっていたが、そんな複雑な話題は、もっとまともな専門書で知識をしいれたほうが信頼できると思いさっさと読み飛ばした。
○ところで、「ヨブ記」の解釈はフィクションなのか事実なのか?
○作者の省略された、あとがき
http://homepage3.nifty.com/hirorin/kamiwaatogaki.htm
ここでいう「神」とは、小説を書いた作者のこと。悪人キャラはユニークで愛着があるが、最後に罰を与えたかったそうだ。小説の中にある理解不可能な「神」とは別物なので混同しないように。勧善懲悪なフィクションの世界と作者から独立した人間性あふれる虚構内キャラクターのほうが「作者=神」のいる現実より上位にあると作者は感じている。