たんす

●箪笥 (薔花、紅蓮) 2003年【韓】   不可+
スヨン(丸顔の妹)、スミ(姉)、スミの実母、ムヒョン(父親)、ウンジュ(継母)、ソンギュ夫妻(スミのおじさん、お客さん)。
○妹も、継母(前半の)もスミの狂気がつくりだした妄想だったというオチ。実は幽霊だったとか(シックス・センス)、妄想だったとか(ビューティフル・マインド)先に見ているとまたかという感じで驚きは少ない。あまり多用するとなんでもありの夢オチと変わらなくなってくる。ただ、この映画の場合、妄想には、深い理由がある。生の本能が願望充足のために妹が生きているという妄想を生み出しているので愛別離苦の情感に訴えるところがある。また、継母のほうは、タナトス(実際にはそんなものがあるのかどうか不明だが、分類方法として)としてPTSD反復強迫をとおして、継母への怒りと憎しみが被害妄想にまで高まり継母という人格をつくりだしている。つまり、エロスとタナトスがそれぞれ人格化して妄想を形成している。ふつう妄想というと甘い夢をつくりだすように思うものだが、人は悪夢をも強迫的につくりだしてしまう。タナトスを描いたという点が新しいといえるだろう。
○ネタバレのあとも釈然としない謎が残ってしまい、語り方としては、失敗作だが、余韻を残して観客に真相を追究させ続けるという意味では成功作。
○よくわからなかったシーンとして
◎箪笥に同じ服が並んでいるのは? 意味不明。
◎夜中の足音、人影は本当の妹の霊みたい? 流しの下にいるのも。このへんは、一部スミの妄想なのかもしれない。しかし、最後に継母へ復讐するのはスミ、か実母の霊だろう。
◎冷蔵庫の中のつつみの肉は? 深い意味はなさそう。
◎スミ、継母(=スミ)も薬を飲んでいる。実母の自殺した箪笥からも薬が。実母もおかしかったのだろう。
スヨン(=スミ)と継母(=スミ)、スミは、同じ日に生理がおこる。二人は、スミの妄想だから当然だろう。
○最後に本物の継母があらわれ、継母(=スミ)の居場所がなくなりスミの妄想は消える。
○最後にスミが狂気におちいった原因である真相が明かされる。継母のいじめで実母は箪笥の中で首をつる。自殺した母を見つけた、妹のスヨンはそれをひきだそうとする。しかし、母の首の縄は箪笥につながっていて、箪笥がたおれてきて妹はつぶされてしまう。継母はそれを見て見殺しにしようとするが、思い直し助けに行こうとする。そこをスミがでてきて、その状況を知らないので、いつものように継母は入ってくるな居間へもどれみたいなことを言う。継母は、怒り、スヨンは見殺しに。(この辺、皮肉な話)。スミは罪悪感や怒りなどで悩むことになる。
○小説『姉妹―Two Sisters―』吉村達也 角川ホラー文庫 で謎はすべて明かされるらしい。買ってまで読むほどのものかどうか。
○箪笥 (コミックス)角川書店 ¥567 (税込)キム ジウン, 古結 あかね マンガのほうは、映画と同じでわかりにくいらしい。

      • ちょっと気になって調べた。これが真実らしい。

○死んだ実母は、スミをうらんでいて、幽霊としてスミの前に現れる。父親とスミは近親相姦であり、実母の自殺の一因となった。映画では、父親と継母(=スミ)はともにベッドで寝ているのでわかる。
○箪笥に同じ服が並んでいるのはスミが買ったことを忘れているから。スミは記憶障害で父親は、記憶をとりもどさせようと、スミにソウルの実家とユチョンの祖父母の家を往復させていた。スミは、何度も記憶をなくし、何度もソウルのデパートで同じドレスを買ってしまった。
映画の最初はその入院後の病院の先生のやりとりからスタートしてる。
○スミ(長女)はなぜ継母となるのかというと、父親との近親相姦願望をかなえるためである。継母になりたいと攻撃者との同一化が行われる。また、スヨンを殺した罪悪感から、悪い自分を継母として人格化した。また、スヨンは実母に似ているところがあり恐怖を感じて継母としていじめたらしい。

○もう、箪笥に時間かけすぎ。これ以上の追求はやめる。

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