うーん 富江

作: 伊藤(ネタばれあり)
富江は、美貌と魔力(呪い?)で男を自由に操る。そして、再生能力が強くまず死なないし、プラナリアなみに、ばらばらにしてもその一つ一つが富江に再生する。富江の血の一滴でも他人の体内にはいるとその体を最後にはのっとってしまう。一度ばらばらになると老いることもない。このあたりが、むしろ超人的ですばらしい。しかし、その再生の過程が人間のできそこないのようで気持ちが悪すぎる。また、男性はなぜか最終的に富江を殺しばらばらにしてしまう。これは、分裂し増殖するための富江の無意識の本能のようなものが男性を誘惑し動かすのだろう(勝手な推測)。それ以外にも、富江自身も望まないのに勝手に頭が二つに分裂しはじめ、増殖がはじまってしまうのも気味が悪い。それから、富江の性格はわがままでナルシストなので、他の富江の存在を許せず富江同士が殺しあう関係になってしまう。気持ちが悪いけど超人的ヒロイン、近づきたくないけど不思議な魅力を持った女性、それが富江だ。気持ち悪くて見てて気分悪いのに、なぜかつづきを読んでしまう。
 そういえば、「猟奇伝説アルカード」 稲垣美佐緒/作 もダークでおもしろい作品だった。「うめずかずお」とか、この手の気味が悪い作品は手元においとくのが怖いやら、いやな感じでいままで一冊も本棚にはない。しかし、最近、電子ブックとして購入したり、CD内においとくパターンが増えてきた。CDの無機質な外観なら寝るときの暗い部屋の中でも気にならないだろう。そんなことを、子供みたいに気にするのは私くらいかもしれない。恐怖マンガを持ってないほど、実は、神経質で怖がりな人なのだと思う。
富江―The complete comics of Tomie