蟹工船 6点  1929年 小林多喜二

蟹工船の劣悪な環境でこきつかわれ搾取される労働者たち。風呂にははいれないし、しらみはわくし。それによって超え太る資本家たち。労働者たちを見ると、新天地を求めて北海道に移住したが、農業に失敗して故郷に戻るときに小金をもって帰ろうと蟹工船に乗り込む人が多いらしい。移住しても、たいていは、大資本から金を借り、結局は、借金漬けで土地をとられたり、失敗して餓死したりということになる。ある日、SOSで助けを求める船があったが、かかわっていると手間隙とられて利益がへるので、見捨てた。利益優先の資本主義の欠点がそこで描かれる。労働者は死んでも、動け、働けと棒でたたかれ、最後は、物のように海に捨てられる。(いちおう水葬だけど)。企業は、文句をいわない優秀な若者を採用するが、荒くれ者たちより、彼らこそが連帯の中心になる。ついに、耐えかねた労働者たちは、ストを決行するが、帝国海軍の兵隊によって鎮圧される。いつも国のために働けといわれていたが、国家は、労働者の味方ではないとわかる。しかし、二度目のストは成功する。労働者をこきつかっていた資本家の代理だった冷酷非情な監督は、ストの責任をとらされ首になる。資本家の側についても未来はないということ。その労働運動の経験者たちは、各地へ散らばっていく。……というような話だったと思う。(飛ばし読みなので、不正確で、うろ覚え)。簡単にいうと、サボタージュ、ストをして資本主義に勝ったという話で、すごくシンプルなストーリーだった。プロレタリア文学の名作で何度も名前を聞くのでどんな話だろうと思っていた。労働運動の典型例みたいな話だ。でも、作中にでてくる共産主義ロシアは理想化されていたような気がするけど。