バルバラ異界  7点
 デスノートなみに登場人物は多いし複雑な話で読むと少し疲れた。よく知らないけど萩尾といえば、かなり昔の作品「トーマの心臓」を読んだことがある。それで、勝手に昔風の芸術志向の作風かなと思っていたが、人物は生き生きとしていて、テンポも速く、古臭い感じはなかった。よくわからないところも多く再読してまとめはじめたが疲れてきて挫折、途中で別の本を読み始めてしまった。細かい伏線があちこちにはられていて設定を理解するのに手間がかかるところが欠点だけど、感情面でのドラマは素直に共感できて面白い。人間ドラマ(人生の虚無感と若返りや父子の関係など)やSF(夢の調査、パラレルワールドなどどこかタイムリー(まだ見てないけどパプリカと時をかける少女? ))だけじゃなくて、猟奇殺人とか推理小説ぽい要素も含んでいていろんな楽しみかたができる。ちょっとつめこみすぎで忙しいけど。
■登場人物
バルバラ  あおばの夢の中の世界。
ダイヤ 美人の母。46才だが若返りの傾向がある。
タカ  ダイヤの子、少年 
パイン 養子の少年 
マーおばさん ダイヤの姉妹で太っている。48歳
雷ジジ かみなりジジ  とその孫 センリ 長髪の若者
子供のあおば ダイヤの家にいる少女 リアルで眠る少女。
○十条 じゅうじょう家
青羽 あおば 眠る少女 ポルターガイストをおこし、現実の世界に洪水やたつ巻など影響をおよぼせる。バラの花や血がふってくる。
ちゃな あおばの母
じょういち あおばの父
ななみ あおばの祖母
エズラ・ストラディ ななみの前の夫 
静音 しずね 学習障害 みょうに若い ななみの叔母
目白 秀吉 めじろひでよし ちゃなの通っていたサイコクリニックの医者
マシロ めじろの息子
ヒル めじろの娘
カーラ・シルスバーグ 黒い肌の女性 21世紀バルトハウスの社員 十条製薬と契約しているスイスのベンチャー企業。ななみをつかってアレルギーテストをしたり、不老不死の薬の研究をしている。
○渡会 わたらい家 と関係者
時夫  ときお 夢分析
北方 キリヤ 少年 ときおの子、1月4日、フランクフルトで生まれた。
北方 あけみ キリヤの母 ときおとは離婚している。
大黒先生 あけみを治療していた前世療法の医者 
花園ライカ キリヤのガールフレンド
光介 こうすけ ライカの一番上の兄 和服 
風仁 ふうじん ライカの兄
世羅ヨハネ 神父 あけみの恋人 孤児院をつくっている。
○ももた たろう あおばのいる研究所の所員 めがね
○パリス・グリーン  パイン ヨハネの孤児院のグリーンホームから来る。キリヤの同級生になる。
■まとめ ねたばれ 2巻までは、再読して確認できたが、3巻以降はうろおぼえで不完全。
○2052年の話。
エズラはしずねとかけおち。しずねの持つ不老の遺伝子がめあてだった。火星人がいるという学説を発表した。細胞活性の薬バルバラをつくる。バルバラ・シリーズは、若返りの薬。
○キリヤが空想でつくった安全な島がバルバラ。それをもとにあおばが夢の中でつくりあげたのがバルバラ。それは、未来へ影響し未来で実現される。
○ちゃなは、自分の心臓としょういちの心臓をあおばに食べさせた。ちゃなは、あおばのアレルギーに悩んでいた。その事件の直前、ちゃなは、あおばは、すべての命の希望だと明るい表情をしていた。
○大昔、火星に一体感を持った生物がいた、それは、集合的無意識のようでもある。昔、その遺伝子が地球にふりそそいだ。食べるとプリオンのように消化分解されずに脳にはいりこみ、記憶が伝わる。人間にも火星人の記憶が伝わっている。ただ、記憶は、封印されている。
○心臓を食べると火星人の記憶が蘇る。記憶が伝わる。また、心臓には、不老長寿に関係するたんぱく質もある。
○ときおは、あけみと離婚して、キリヤを捨てた形になっている。
あけみは、ときおに夢を読まれるのをいやがった。二度目は、あけみが病気になり、そのとき前世の恋人であるヨハネが現れた。
ときおは、世界から捨てられたと思って、捨てた父親を憎んでいる。父親は、そのことに罪悪感を持っている。だから、大黒先生は、今にときおはキリヤに殺されるという。この予言はあたらなかったが、修正された世界で殺されそうになった。
○あおばは、火星を描いていた。めじろひでよしのクリニックで描いていた。
○あおばは、キリヤの前に現れまた一つになれるという。
○めじろひでよし は、たつ巻で死ぬ。あおばを目覚めさせるには夢の中のバルバラを壊せばいいといったからか。そのため、あおばにやられたのか。
○パリスは、キリヤをタカだという。グリーンホームでタカ、アニー、ミッキー、パリスは、いつもいっしょでベビーダックスと呼ばれていた。誕生日はみんな10月1日。子供がほしい人のために体外受精でつくられた。2巻140 生き残ったのはタカ、パリス。里親の母親がわりがアカネ、アヤメ、アサギだった。
○グリーンハウスのヨハネ神父。グリーンホームの横にある聖メアリ病院。その病院から研究材料を送ったりしていた先がバルトハウスでそこに青博士がいた。カーラは、青博士の研究に協力していた。
エズラヨハネ、青博士は同一人物だった。しずねの卵子で不老不死の子供をつくる研究をしたりしていた。ななみは、そのスキャンダルを消すためにエズラのいろんな情報を世の中から消した。ヨハネの遺伝子情報が青博士と一致しなかったりするのは、そのときの情報の改変のためかもしれない。
○しずねの老化抑制の遺伝子とエズラ精子を使ってできたのが、アカネたちだった。これは、失敗して老化がすすんだ。しかし、タカとパリスは成功した。
○キリヤは実は昔、幼い頃に死んでいて、タカといれかわっていた。キリヤの本当の正体は、タカであおばと同じエズラの子供だった。キリヤには甲殻類、エビとかのアレルギーがあったが、今のキリヤにはなかった。バルバラのタカとあおばは、父子の関係としてうまくいっている。本物のキリヤは眉が太い。
○修正された世界。4巻で、キリヤは事故で死ぬ。ときおは、過去のエズラに思念を送り今を変えてもらおうとする。現在が変わりキリヤはキリヤになった。タカは未来のバルバラにしかいない存在になった。
○ななみは、カーラのアレルギーの薬の実験台になり、予期せず、若返り、もう一つの人格をもつ。マリエンバートと名乗りときおに愛を求める。子供を作って人生に意味があったと思いたいのだ。しばらくするともとのななみにもどった。
○2150年あたり。夢の中の未来のバルバラ 外では火星と戦争をしている。火星大戦争は、2130年にはじまる。空を飛べる人もいる。バルバラのあおばは、誰も死なないという。逆に、ジジは、死ぬという。外の世界のものは、バルバラのものの血から不老不死の薬をつくるという。そして、ヒナコという娘が死ぬ。バルバラの心臓を食べる儀式がはじまる。心臓は結晶化していた。心臓を食べることでヒナコの記憶がうけつがれ、ある意味永遠に生きることになる。
○現実世界にたくさんの子供あおばとパインがでてきてお互いに心臓を食べようとしている。一人のパインは子供あおばたちに心臓を食べられた。あおばのポルターガイストのようだが、無意識的なもので、根本的には、火星ではみんな一体だったので、その記憶が飢えさせている。


バルバラ異界 バルバラ異界 (1) (コミック)
萩尾 望都 (著)